日時: 2017年9月14日(木) 13:30~15:00
場所: 松山市 コムズ3階 会議室3
講演:
●エンディングノートを書きましょう ~相続・遺言・財産について/自筆証書遺言について~
 BS21エンディングカウンセラー協会 門田 洋子/髙橋 信吾
●自分史ビデオの上映
 元小学校校長 乗松 幸平さん
●失敗しない遺言“5つのポイント” ~専門家による個別相談会~
 いよリーガル 代表司法書士 荒川 晃久さん

今回はBSオリジナルエンディングノート『相続・遺言・財産について』を実際に書き進めて自筆証書遺言書例を実際に作成し、遺言について造詣を深めるための勉強会を行いました。

エンディングノートを書きましょう ~相続・遺言・財産について~

門田洋子
弊社エンディングカウンセラー門田洋子の説明に合わせて、書き直しのできる鉛筆を使って実際にエンディングノートを書き進めました。

日本人の平均寿命は男女とも世界第二位になりました。長い人生、ゆっくりしっかり少しずつ出来るところから終活の準備をしていってはいかがでしょうか。

財産については自分が健康でしっかりしている時に書くと良いでしょう。書こうと思って調べたり見返したりすると、思っていたよりもいろいろなものが見つかるものです。

まず正の財産として、預貯金・有価証券・不動産・自動車・貴金属・美術品・骨董品・ゴルフ会員権・貸金庫・貸倉庫・各種保険などを整理します。休眠口座を確認し預金通帳をまとめるのも大切です。
財産目録には年金・老後資金・葬儀資金・互助会積立金の有無などについてもまとめておきましょう。
大切なペットについては、もしもの時にはどうしたいのか、誰に飼ってほしいのか、そのために準備しているもの(費用など)があれば、知って欲しいことも含めて書いておくと良いでしょう。

不の財産として借入金・ローンなどは必ず書いておきましょう。年会費・月会費の必要なクレジットカードや入会団体についてもまとめておきます。
退会届・解約手続きが必要な場合もあるでしょう。負の財産が極めて多い場合には相続人が相続放棄の手続きを取ることもできます。

このように実際にエンディングノートの項目に沿って書いてみることで、自己財産の把握具合を知り、もっと調べないといけない事が分かるでしょう。

また自筆証書遺言を書く練習を行いました。
家族想定例をもとに、遺言者(父)が相続人(妻と長男)それぞれに相続させる書き方や、相続人以外(長男の妻)への遺贈する書き方、遺言執行者(長男)の指定などを学びました。
付言事項ではこの遺言書を書いた自分の気持ちや残された人へのメッセージを自由に残すことができます。
この付言事項に法的拘束力はありませんが、遺言者の気持ちを伝えることでより円滑に遺言書を執行する助けになりそうです。

形式としては、名前・住所・氏名・印鑑(実印が望ましい)・日付(吉日は無効)などの記載事項を記入し、気を付けるポイントを学びました。
封書の書き方では、表面に「遺言書在中 開封せずに家庭裁判所で検認を受ける事」などと書きます。

裏面は割印(遺言書と同じ印鑑)で封をして、名前・印鑑・日付を記入することを学びました。

自分で作成する遺言書は形式の不備があることが多いので、弁護士・司法書士などの専門家に見て頂くのがお勧めだそうです。
自筆証書遺言を書いたら、家族や周りの方に遺言書の存在を伝えておくこともとても大切だと学びました。

自分史ビデオの上映

乗松幸平
元小学校校長の乗松幸平さんの自分史ビデオを上映しました。
乗松先生は自分史を自費出版されていますが、今回はその内容をご自分のナレーションでビデオ収録しました。

「教師という仕事は、教え子が自分達を乗り越え成長していく姿を見ることが出来る無上の喜びを感じる仕事である」というナレーションが印象的でした。

また「道徳の乗松」と呼ばれていて道徳教育の在り方を考えるのがライフワークであったこと、家族の歴史や退職後の活動や趣味の紹介等々、日々ご先祖様に感謝し座右の銘とともに未来へ続いていく感動的なナレーションに、会場からも自然に拍手が起こりました。

乗松先生のお話では、親族の集まりでこのビデオを上映してとても好評だったこと、初めてのスタジオ収録で緊張したけれど良い経験になったことなどを聞きました。

失敗しない遺言“5つのポイント” ~専門家による個別相談会~

荒川晃久
当協会スポンサー「いよリーガル」代表司法書士の荒川晃久さんより遺言についてご講演いただきました。
 
平成28年度の公正証書遺言の作成件数は105,350件で年々増加しているそうです。荒川先生の事務所にも毎月50名以上の方が相続手続きに来られますが共通の悩みがあるそうです。

まず相続クイズをしました。

検認を受ける前に開けてしまった遺言書でも有効であること。
子供のいない夫婦でも遺言書を残す必要があること。
相続を放棄しても死亡保険金は受け取れること。
遺産分割協議後でも銀行から借金催促状が届いたら支払う義務があること。
高齢や病気で文字が書けなくても公証人による遺言書を残せること。

などについて、分かり易く学ぶことができました。

相続発生後の流れや、遺言書がないことで遺産分割できないデメリットや、遺産分割協議中のトラブル、遺言書を作るメリットなどについて、相談事例を交えながら説明して頂きました。

遺言書に対する「勘違い」では、
遺言書を書いた後でも財産処分は自由にできること。
遺言書をわざわざ書かなくても仲良く分けられると思っていたり、お金持ちじゃないから遺言書は必要ないと思っていたら「争族」になったりするそうです。

また空き家を所有するリスクや、将来的に発生する問題について学びました。
愛媛県の空き家戸数(別荘等の二次住宅除く)は全国2位という多さだそうです。

相談事例の中では「遺留分」「遺言書付言」「遺留分減殺請求」「検認」など、それぞれのケースで考えられるトラブルとその対策について考えました。
亡くなった方に借金がある場合には相続人からの過払金請求もできますが、相続放棄後の請求はできないそうです。
相続放棄をする場合には相続開始後3か月以内という期限があります。

遺言書については自筆証書遺言と公正証書遺言のメリット・デメリットを学びました。
作成した自筆証書遺言書は荒川先生の事務所でも無料チェックして下さるそうです。

失敗しない5つの遺言のポイント
①65歳になったら「遺言適齢期」!
②3つのお守りは遺言書・生命保険・生前贈与
③お金よりコミュニケーション不足が揉める原因
④△自筆証書遺言 〇安心な公正証書遺言
⑤1日でも早めの専門家への相談
 
ご講演後、さっそく個別相談をする方や、次回相談したいという方もいらっしゃいました。

次回開催予定

次回は3月8日(木)コムズ3階 会議室3にて 13:30~15:00 「葬送について」の講演会・勉強会を行う予定です。皆様の参加をお待ちしております。